ドアのように見える木
ところで、審査の中にはこんな話もあったそうです。Oさんは、最近足腰が弱くなってきた父母のために、高齢者向けのバリァフリー住宅を建てました。自慢はエレベーター。木調の雰囲気のある一扉部分は、部屋の扉のように見えます。父母の移動を助ける目的で無理して作ったものでした。ドアのように見える木調を選んだのは、エレベーターのように見せたくないため。足腰が弱くなっても気持ちが若く、介助設備などに頼りたくないという父母を思いやった結果でした。いよいよ新居が完成し、市役所から職員が審査にやって来ました。高齢者向けの対策が随所に見える凝った作りですから、評価額もかなり高いのではないかと心配でたまりません。ハラハラしながら、職員についてまわりました。エレベーターの前を通りかかった時のことです。説明しなくてはいけないかなと思った途端、職員はすっと通り過ぎてしまったのです。「あれ!」と驚きましたが、エレベーターの存在に気がつかなかったようです。そのまま審査は終わってしまいました。これは本当にまれな話だと言えますが、住宅審査の職員の本職は「資産評価」で、住宅の専門家ではありません。